SR400とW650は比較されることが多い。どちらも、クラシック系のバイクで見た目の雰囲気が似ているからだろう。
私は、19歳で中型2輪の免許を取り、SR400に5年乗った。その後、車に移ったり、250CCのバイクを経由して現在は、W650に乗っている。両方乗った経験を生かしてそれぞれの違いについて紹介する。
・SR400とW650スペック比較
W650とSR400の比較 | ||
スペック | W650 | SR400 |
全長/全幅/全高 | 2182/780/1140 | 2085/750/1110 |
シート高 | 800 | 790 |
乾燥重量(kg) | 211 | 174 |
気筒数 | 2 | 1 |
冷却方式 | 空冷 | 空冷 |
排気量(cc) | 675 | 399 |
最高出力(ps) | 48 | 26 |
最大トルク (kgf・m) |
5.5 | 2.9 |
燃料タンク(L) | 14 | 12 |
エンジン始動 | セルフ・キック併用 | キック |
燃料消費率(km/L) | 37 | 41 |
・SR400とW650の違い
エンジン始動が楽なのはW650
SR400は、キックべダルによるエンジン始動方法のみである。このエンジン始動が、SR400に乗る前の儀式のようなものと言われたりする。慣れれば、エンジン始動にそれほど苦労することはない。また、素人にはエンジン始動ができないという優越感を持てたりする。
W650は、キックとセルの両方のエンジン始動が可能だ。また、キックべダルも拍子抜けするほど軽いので蹴りごたえがない。たまに、SR400のキック始動が懐かしくなることがある。
SR400は煽られる
SR400とW650では、車格が異なる。単気筒のSR400、二気筒のW650、どちらも排気量の割には車体がスリム。特に、SR400は後ろから見ると非常に小さく見える。中型バイクだが、原付と間違えられるのだろうか?
SR400で片側一車線の一般道で走っていると、無理な追い越しをされることが多くストレスだった。W650に乗り換えてからは、無理な追い越しをされることはほとんどなくなった。2本出しのマフラーは後ろから見た時に、車格を大きく見せる効果があるようだ。
鼓動があるのはSR400
SR400、W650もバイクの雰囲気を楽しむ乗り物である。その、バイクの楽しみ方の一つにエンジンによる鼓動(振動)を感じるということがある。ドコドコと生き物のように鼓動するエンジンを楽しむのもバイクの醍醐味だ。
この、鼓動や振動などを感じやすいのは単気筒エンジンのSR400である。単気筒エンジンでは、シリンダが一つの為、一発一発のエンジンの爆発が大きい。
W650は、2気筒エンジンの上に振動を消すためにバランサーというものが装着されている。その為、ノーマルマフラーではエンジンは非常に静かで振動が少ない。長距離を移動したりするのには疲れにくくて便利なのだが、静かすぎて、個性が薄い。私以外にも、このように感じるユーザーも多く、購入後にすぐに手放すユーザーも多い。
W650を楽しむためには、マフラーの交換は必須だと感じる。ちなみにおススメのマフラーは、BEETの『NASSERT-TRAD Ⅴ』である。車検対応だが、程よい音量アップと鼓動の増大でバイクが楽しくなった。
高速巡回はW650が向いている
SRで快適な速度は、低速~60km/hくらいだろう。気持ちよく走れるのは、エンジンが低回転時の時である。あまり、エンジンを回しすぎると振動が激しすぎて非常にしんどい。
一度、高速道路を80km/hの速度で100kmくらい走ったことがあるが頻繁にパーキングエリアで休憩しないと体がもたない。振動により下半身などがマヒしそうになる。
その反面、低速で走っても楽しい、ゆっくりはしっても楽しいというのがSR400の最大の長所だと感じる。
いわゆる急かさないバイクである。
W650は、低回転でゆっくりと鼓動を感じながら走るのも楽しい。中回転で少し、振動が大きくななりミラーが振動で見えなくなる範囲がある。
そこからさらにエンジンの回転数を上げても非常に滑らかにエンジンが回る。高回転まで回すと、多気筒エンジンのようにスムーズにエンジンが回り、振動も少なくなる。
このような特徴があるので、W650では高速道路で100~120km/hくらいのスピードで走ってもそれなりに走れる。風防をつければさらに快適に走れるだろう。大きなバイクと一緒にツーリングする機会が多い場合は、W650が向いている。
カスタムしやすいのはSR400
SR400、W650共にノーマルでも完成された美しいデザインである。ただ、長期間乗っていると少し飽きてくる。そのようなときはカスタムをすればいい。
ハンドルを変えたり、マフラーを変えると乗り味・雰囲気が変わって新車を買ったときのような新鮮な気持ちになれる。パーツは、新品で買うのもいいけどオークションなどを使うとより安く部品を入手することができる。
SR400、W650は、ともに人気があるのでどちらも純正や社外品など多くのパーツが販売されている。ただ、SR400のほうがユーザーが多いので、部品の流通量が多い。また、マフラーなどのパーツの値段もSR400のほうが安く入手できる。
W650で新品の社外マフラーを購入しようとすると10~15万円の費用が必要だ。もちろん、中古で購入すればもっと安く手に入るが、中古品の場合もSR400のパーツは断然安い。たくさんバイクをいじりたい・金銭的な余裕があまりない。という場合は、SR400が向いている。
声を掛けられるのはW650
SR400に乗っているときは、バイクについて声をかけられたことはほとんどなかった。W650に乗ってからは、ツーリング中や喫茶店などで声をかけらることが増えた。声をかけてくるのは、60歳前後の男性が多い。
『これってW1?わしも、若いころは、メグロのW1に乗っていたんよ。』みたいな感じで、W1と間違えて声をかけられたり・・、他には、クラシックな外観なので凄く古い旧車と思い珍しがって声をかけられたりする。
バイクに詳しくない人から見ると、外車のように見えるのだろう。(もともとは、イギリスのボンネビルを模倣して作られたので)それが珍しくて話しかけてくる人も多い。
それぞれの魅力
SR400、W650どちらも魅力的なバイクである。最後に、それぞれのバイクで一番印象に残っている魅力を紹介したい。
SR400
SR400は、大きくデザインを変えることなく38年間発売されてきた。2010年には、排ガス規制により、キャブレターからインジェクションに変更された。それでも、従来と変わらぬデザインでファンの期待に答え続けてきた。
他のバイクを模倣して作られたわけではなく、完全オリジナルで設計されている。スペックや排気量だけでは語れない魅力があるのがSR400である。
W650
W650は、大型バイクの分類だが、重量は200kg程度で取り回しが楽である。積載性が良かったり、燃費もよく、誰でも気楽に乗ることが出来る。大きなエンジンのスーパーカブのようなバイクだと思う。